乳がん死亡率を下げる唯一の検査!
乳がん検診の目的は乳がん死亡率を下げることです。
乳がん死亡率を下げることが証明されている唯一の検診法、それはマンモグラフィです。
乳がん検診には以下の2種類があり、無症状の方が対象となります。
①対策型検診 (住民検診)
国民全体の乳がん死亡率を下げるために、40歳以上の女性を対象に市町村が主体となり税金(少額自己負担の場合もあり)で行われます。国の公共政策として行われるため費用対効果も重要で、確実に検査のメリットがデメリットを上回る必要があり、死亡率減少効果が科学的に証明されているマンモグラフィで行います。
②任意型検診 (人間ドック、職域検診など)
個人の乳がん死亡率を下げるために、年齢関係なく、乳がん検診を希望する女性が全額自費(職域健診では職場が一部負担)で行います。個人の自由意思で受けるため、検査のメリットとデメリットは個人で判断することになります。
30代で検診希望の方は①の市民検診を受けることはできないため、②として受けていただく形となります。
マンモグラフィと超音波は、それぞれ長所短所があります。
マンモグラフィの長所は初期の乳がんで見られる石灰化病変を見つけやすい、死亡率を下げることが証明されていることになります。短所は高濃度乳腺だと乳がんが描出しにくい、被ばくするため妊娠中は受けられない(ただし被ばく量は将来の発がんリスクを上げるほどの量ではありません)、乳房圧迫の際にちょっと痛いことです 。
超音波の長所は被ばくしないために妊娠中も可、痛みがない、小さな腫瘤を見つけやすいことです。短所は小さな石灰化病変は検出できない、現時点では死亡率減少効果は証明されていないことです。
マンモグラフィと超音波は、検査としてどちらがより優れているかというのはなく、それぞれの長所を組み合わせて行うべきです。
40代女性に対し、マンモグラフィに超音波を加えることで早期乳がんの検出率は増えますが、乳がん死亡率が減少するかはJ-STARTという臨床試験で結果が待たれるところです。
超音波単独の乳がん検診に関しては推奨されていません。
10月はピンクリボン月間で、世界中で乳がんに関する啓蒙活動が行われています。
乳がん検診受診率は欧米諸国では70~80%で乳がん死亡率減少に転じていますが、日本は47.4%(2022年データ)とまだまだ低く、死亡率減少には至っていません!
私たち乳腺外科医の願いとしては、芸能人の乳がん報道やピンクリボンに関わらず、乳がん検診を受けるのはもちろんのこと、ブレストアウエアネスを日々心掛けてほしいのです。
毎日お風呂に入った際に自分の乳房を触り、鏡の前でチラっと乳房をチェックする習慣をつけましょう。
歯を磨く、身体を洗う、そんな日々の習慣の一つに加えて欲しいですね。
家族、友達に「一緒に乳がん検診いこう!」とぜひ声をかけてください^^
★ブレストアウェアネスとは→自分の乳房を守るために、今日からブレスト アウェアネス! | かおり乳腺クリニック (kaori-breast.com)