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手術が先か、抗がん剤が先か、どっちがいいの?①「先に抗がん剤」編

[2025.06.25]

肝臓や肺、骨などに転移が無い方の乳がんの初期治療は、薬、手術、放射線治療を組み合わせて行います。

抗がん剤をするかどうかは、乳がんのタイプ、ステージ、悪性度などから決定します。

今回は、抗がん剤をする場合、手術と組み合わせて、どのタイミングでするのかについて説明しますね。

治療の順番として、手術を先にする場合と、抗がん剤を先にする場合があります。

これまで、先に抗がん剤をする患者さんに
「ここに今しこりがあるのに、手術をせずに先に抗がん剤で大丈夫なのでしょうか?さっさと手術でとりたいのですが」

と質問されたことが何度もあります。
特に自分でしこりに気づいて病院を受診された方は、手術をしないと、このまましこりが大きくなる気がするのかもしれませんね。

手術が先か、抗がん剤が先か、どちらが良い治療なのでしょうか?

結論から言うと、どちらもメリットのある良い治療方針なので安心してください。

まずはそれぞれの治療の説明の前に、いかに薬の治療が重要かということから説明します。

乳がんはどの薬が効くかによって、タイプに分かれます。
手術か抗がん剤、どちらを先にするかは、患者さんのステージや乳がんのタイプ、悪性度(顕微鏡で見たがんの顔つき)、閉経してるかどうか、などによって異なります。

繰り返しになりますが、乳がんの治療は患者さんに応じて、手術、薬、放射線という3種類を組み合わせて行います。

手術と放射線は局所治療で、薬は全身治療になります。それぞれの治療に優劣は無く、目的が異なります。

がん細胞の大きさは定規の最小メモリである1mmの1/100になります。ですので、私たちの目には見えません。何年もかけて分裂を繰り返して大きくなり最終的にしこりとして触れたり、画像検査で検出できるようになります。

乳がんと診断された時点で、または診断される前から、がん細胞が乳房や脇のリンパ節以外の全身に微小な転移を起こしている場合があります。現時点ではこの微小転移を確実に診断することは困難です。

CTやPETではこの微小転移は検出できません。

「微小転移のしやすさ」はステージや悪性度(顕微鏡で見たがんの顔つき)などから予想します。

この微小転移が将来、肝臓や肺、骨などの転移再発につながるため、乳房や脇にいるがんだけでなく、全身にいる微小転移もしっかり撲滅する必要があります。

薬の治療は、乳房のしこりや脇のリンパ節だけでなく、見えない微小転移にも効果があるから全身治療なのです。

「乳房内のしこりと転移のある脇のリンパ節は手術」で、「見えないがんは薬」で撲滅することが重要です。

薬の治療の重要性を知ったうえで、次に抗がん剤を先にする治療のメリットを説明します。

先に抗がん剤をするメリット

メリットその1  部分切除が可能になる

比較的大きな乳がんの場合、先に部分切除だと術後の乳房の変形が強くなってしまい、部分切除が難しくても、手術前に抗がん剤を投与してがんが小さくなることで部分切除が可能になることもあります。部分切除希望の患者さんの場合、これは直接感じられるメリットになりますね。

ただし、抗がん剤が効いて縮小したとしても元々、治療前にがんが存在した部位は切除するので、例えば乳がんが乳頭の近くにある場合や、複数か所にある場合、広範囲に広がる場合は先に抗がん剤をしても、術後の乳房の形を綺麗に残す部分切除が困難なことも多いです。

メリットその2  治療効果に応じた術後治療ができる

先に抗がん剤を投与後に手術をして、顕微鏡で摘出部の元々がんがあった部位を観察すると、どのくらい抗がん剤でがんがダメージを受けたかという評価ができます。

手術で摘出された乳房の中の浸潤がんが全滅したかどうか」が重要となってきます。

抗がん剤がよく効いて、がんが完全にダメージを受けて全滅できた、HER2タイプやトリプルネガティブでは、抗がん剤後も全滅しなかった場合よりも術後に肝臓や肺、骨など全身への再発がしにくいのです。

グレードⅢ、Ki67が高いなど、「がんの顔つきが悪い」「悪性度が高い」と言われて落ち込んでいる方がおられるかもしれませんが、がっかりしないでください。悪性度の高いがんの方が抗がん剤の効果は期待できるのです。

一方、抗がん剤後も浸潤がんが全滅しなかった場合はどうなのでしょうか?

いやいや、がっかりしないでください。

「しぶとく」全滅しなかったがんには、術後に乳がんのタイプに応じた強力な治療薬を追加することができます。

治療効果のバロメーターとなるしこりがある状態で先に抗がん剤をするからこそ、その効果を確認ができて、効果に応じた術後治療を選択できるのは術前に抗がん剤をする大きなメリットと言えます。

また、抗がん剤が効いてくると、しこりが小さくなったり、硬かったのが柔らかくなっていくのを患者さん自身が自覚でき、「あ、効いてるな」と実感することができます。

長くなったので、次のブログで先に手術をするメリットについて説明しますね。

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