メニュー

マンモグラフィってなんで痛いの?

[2024.10.20]

乳房の検査といえば、エコー(超音波)、マンモグラフィ、MRIがあります。

みなさんにとってマンモといえば、乳房を挟まれて痛い検査というイメージでしょうか?

今回はマンモグラフィの痛みについてまとめます。

痛みの感じ方には個人差があるので、マンモをそんなに苦痛に感じない方もおられますし、同じ患者さんでも痛みを感じやすい時期がある方もおられます。(生理前に乳房が痛む方は、その時期のマンモグラフィを避けていただいたほうがいいです)

まず結論から言います。

検査時になるべく痛くないように配慮します。でもしっかり乳房を引き出して広げて圧迫するのには大事な理由があるのです!

マンモグラフィで乳房をしっかり引き出して広げて圧迫する目的は以下になります。

①乳腺を広げて、もし乳がんがあった場合に検出しやすくする。

②乳房を薄く広げることで被ばく量を減らす。

③乳房のはさみ漏れがないように乳房全体を画像の中に収める。

以下に解説していきますね。

①乳房はミルフィーユみたいに、パイ生地(乳腺)とクリーム(脂肪)が混ざってできています。このパイ生地の厚さやクリームの量という組成は年齢や個人によって異なります。一般的には若年者は乳腺が多く、加齢とともに乳腺が退化し脂肪に置き変わっていきます。ただ、個人差もあり、若くても脂肪の割合の多い乳房の方もおられたり、逆に比較的年齢が上の方でも乳腺が多い方もおられます。

マンモグラフィの画像では乳腺は白く、脂肪は黒く写ります。脂肪と乳房が混ざっているため、黒と白だけでなく、様々な濃淡の部位があります。

ただ、乳がんのしこりは乳腺と同じくらい白く写るのです。

乳房の脂肪の割合の多い方が乳がんになった場合は、マンモグラフィでは黒いスペースが多いところに白いしこりが描出され異常所見として検出しやすいです。

逆に乳腺の割合の多い方が乳がんになった場合、マンモグラフィでは白いスペースが多いところに白いしこりがあっても、まるで雪山の中で白いウサギを探すのと同じで検出するのが難しいのです。(このため、高濃度乳腺という乳腺がかなり多い方に関しては、エコーも併用することが勧められます。ただ石灰化病変に関しては高濃度乳腺の方でもマンモグラフィのほうがエコーより検出しやすいため、マンモグラフィを受けること自体は勧められます)

高濃度乳腺ではない方でも、撮影時に乳腺が重なりあって、そこに乳がんのしこりが隠れてしまわないよう、できるだけしっかり乳腺を押し広げて撮影する必要があるのです。

またはさんだ乳房が撮影途中にずれてしまうと、画像としてはボケてしまい、乳がんが検出しにくいこともあるためしっかり乳房を固定する必要があります。

つまり質の高いマンモグラフィ画像を撮影することで、もし乳がんがあった場合に検出しやすくなるのです。

②マンモグラフィの被ばく量自体は、乳房の厚さ、乳腺や脂肪の割合によっても変わりますが、しっかり圧迫して乳房の厚みを減らすことで被ばく量を減らすことができます。

ちなみにマンモグラフィによる乳房の被ばくを心配される方もおられますが、そもそも日常生活をしているだけで宇宙や食べ物などからの自然被ばくがあります。マンモグラフィの1回の撮影による被ばく量は1年間日本に住んでることでの自然被ばく量よりもはるかに少ない量になります。

③マンモグラフィは2方向で撮影する場合、それぞれの方向で、そもそもはさみにくい部位があります。もちろんそれを考慮して、できるだけ乳房を引き出すように撮影するのですが、もし、はさみ漏れた部位に乳がんがあった場合、マンモグラフィには写らないため、画像上は検出できないことになります。乳房全体の画像を描出するためにはしっかり引き出す必要があります。

皆さんができるだけ痛い検査を避けたいと思われるのはもっともなことです。

でも実際に、私の乳がん患者さんで早期に発見できた方は「乳がん検診を受けておいてよかった」と言われ、しこりが大きくなってから気づいた患者さんは「乳がん検診を受けておけばよかった」と言われています。

検査は片方の乳房の1方向の圧迫時間は10秒以内です。2方向撮影の場合は左右合わせて計4回はさみます。患者さんによっては撮影に少し時間がかかることもありますが、長時間乳房をずっと圧迫するような検査ではありません。

100%正確に乳がんを検出できる検査はないのですが、2年に1回のマンモグラフィを含めたブレストアウエアネスで、もし乳がんになったとしても、できるだけ早期に発見して早期に治療を開始できるのは、人生の幸福度にも大きくかかわってくることだと思います。

今年まだ乳がん検診を受けられてない方はぜひ受けてくださいね。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME