身内に乳がんがいないのに、まさか自分がなるなんて
「身内に乳がんの人はいないから、まさか自分がなるとは思ってなかった」
これは、実際に何人もの患者さんから言われた言葉です。
乳がんの約5~10%が遺伝性といわれています。
逆に90%の方は遺伝以外の様々な要因で乳がんになっているということになります。
ですから、身内にがんがいない=(イコール)自分が乳がんにならない、という根拠には全くなりません。
身内に乳がん患者さんがいなくても、ブレストアウェアネスを習慣付けましょう。
★ブレストアウェアネスとは→自分の乳房を守るために、今日からブレスト アウェアネス! | かおり乳腺クリニック (kaori-breast.com)
そして、身内に乳がん患者さんがいる方は、よりご自身の乳がんのリスクを意識する必要があります。
「家族性乳がん」とは身内に乳がん患者さんが複数いる状態をいいます。
そのうち、乳がん発症に関係する遺伝子が原因で乳がんを発症しているものを「遺伝性乳がん」といいます。(「遺伝性乳がん」に関してはまた別のブログで書きたいと思います)
身内に乳がん患者さんがいる場合、その人数が多いほど、自分とその乳がん患者さんの血縁関係が近いほど、自分の乳がん発症リスクは高くなります。
これまでの多数の研究から以下が報告されています。
- 母、姉妹、娘に乳がん患者さんがいる場合は、いない場合よりも自分の乳がん発症リスクは約2倍になる
- 母と姉妹がともに乳がん患者さんの場合(つまり身内に2人乳がん)は、いない場合よりも自分の乳がん発症リスクは3.6倍になる
- 祖母、叔母、めい、孫に乳がん患者さんがいる場合、いない場合よりも自分の乳がん発症リスクは1.5倍になる
普段からブレストアウェアネスの重要性を、1人でも多くの女性が意識して、定期的に乳がん検診を受け、もし乳がんになったとしても早期発見、早期治療につなげ、人生を豊かに楽しく過ごして欲しいと願っています。
堺市、狭山市、松原市、羽曳野市、河内長野市にお住まいの方、私が八尾市立病院で治療し、引き続き、かおり乳腺クリニックに来ていただく患者さんの乳房のかかりつけ医として、しっかりサポートしていきますのでよろしくお願いします。
BQ13 乳癌家族歴は乳癌発症のリスク因子となるか? | 疫学・予防 | 乳癌診療ガイドライン2022年版 (xsrv.jp)